『10歳でもわかる問題解決の授業-自分の頭で「考える力」が身につく5つの授業』
要約・感想・書評
こんな人におすすめ!
- 仕事の成果を上げたいと考えている方
- 問題解決の思考のフレームワークの基礎を学びたいと考えている方
- 問題解決の思考について、子供にも学ばせたいと考えている方
作品情報
- タイトル:10歳でもわかる問題解決の授業-自分の頭で「考える力」が身につく5つの授業
- 著者:苅野進
- ジャンル:ビジネス・問題解決
著者紹介:
東京大学文学部卒。子供向けロジカルシンキング指導の専門家。
大手人事・経営コンサルティング会社を経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップにより問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組む。
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要約
元経営コンサルタントの著者が、経営コンサルタントが使う「思考のフレームワーク」をわかりやすく解説している。
数年コンサル会社で問題解決のためのフレームワークや考え方の手法を学び、それを小学生にもわかるように説明している。
ほぼ抜き出しにはなるが、要点をまとめると以下となる。
1. 自分の頭で考えて決断するための3ステップ
ステップ①:「問題を理解し、設定する」
ステップ②:「決断する」
ステップ③:「その後の不具合を分析して修正する。そして、次回に生かす」
という、3つのステップを身につける必要がある。
2. 「仮説」をもって考える
「次につながる良い失敗」とは何か。
それは、しっかりとした“仮説に基づいた決断の結果”としての失敗のこと。
例えば、
成績が上がらないときに合格者が使っていた問題集をやってみた。
だが点数は上がらなかったため、別の合格者が使っている問題集をやってみる。
これは、仮説のない、決断の結果を活用できていない例だ。
それに対し、
「自分に足りないのは、基本公式の理解ではないか?」
という仮説を持って考えると、”基本公式が説明してある”という評価のある問題集に取り組むことになる。
それをこなして成績が上がらなかった場合にこそ、
「まだ身についていないので繰り返す」
「基本公式の理解は問題ないので、その応用力を身につける方法を考える」
といった具体的かつ、次のステップに進む足がかりとなる。
自分に仮説を持たず、「合格者が使ってる問題集を片っぱしからやってみる」
「成績が上がらないのは基礎ができてないからじゃないか?」という仮説を持って勉強に取り組むことで、問題解決あるいは次のステップに進むことができる
3. 良い仮説は具体的なアクションを含む
例えば小学生が、
「算数の成績が良くないのは、計算能力が低いからかもしれない」という仮説を持ったとする。
これは原因について大きく外れてはいないであろう、悪くない仮説だ。
しかし、私たちの最終目標は診断ではなく問題解決である。
そのためさらに一歩進んで、
「算数の成績が良くないのは、計算能力が低いからかもしれない。それは、毎日の繰り返し練習によって克服される可能性がある」というように、具体的なアクションにまで掘り下げていくことが大切である。
たとえば、
「復習ができていないから成績が悪い」という仮説を掘り下げてみると、
「テレビゲームの時間に圧迫されて、復習ができていないので成績が悪い」というところまで考えることができる。
ここまでくれば、「テレビゲームの時間を制限する」や「テレビゲームを捨てる」などの具体的なアクションにつながってくる。
そうすると、「その結果を検証する」という次のステップに進むことができる。
4. 隠れている前提条件を見落とさない
たとえば、学習塾で学習指導をする場合でも隠れた前提を見つけることは非常に重要である。
保護者や生徒からの「成績を伸ばしたい」という要望があったときに
「補習をしましょう」「個別指導をしましょう」といった提案をしても、しばしば拒絶される。
保護者も生徒も「補習」や「個別指導」という、本来の授業から離れた場所で指導を受けると、なんだか自分がすごくできない人間になった気がして、やる気がなくなってしまうのである。
つまり、「成績を伸ばしたい」けれど、「『自分が現状では成績が良くない、勉強が得意ではない』という現状認識は受け入れられないので、そのような環境に置かれる案は除く」という隠れた前提があるのだ。
5. 論点を常に考える
たとえば、「学校のテストの成績が下降している」ということも、しっかり論点の設定ができていない。
「テストの成績を上げるために、気合いを入れて勉強をしよう。家庭教師を雇おう」といった打ち手では、実は効果が上がらなかったり、長く続かなかったりする。
「テストの成績の下降」を現象としてとらえた論点を例として挙げてみよう。
- 授業中の居眠りが多く、授業をほとんど聞いていない
- 家でテレビやゲームの時間が増えている
- 各科目への興味を失っている
というものが見つかったとする。
成績の下降というのは、これらから発生した現象にすぎなかったということもあるのだ。
すると、
- 授業中の居眠りが多く、授業をほとんど聞いていない
→授業中に眠くならないように睡眠時間を確保する - 家でテレビやゲームの時間が増えている
→テレビとゲームの時間を制限する - 各科目への興味を失っている
→テスト対策ではなく、じっくりと楽しめる学習方法を模索する
という対策が見えてくる。
私が感じたこと
【読む前】
問題解決についてもっと詳しく学びたいと考え、このジャンルの本を聴きあさってみようと考えた。基礎知識がないので、わかりやすく基礎的なことが学べそうなものを探していたら本著にたどり着いた。
10歳でもわかる、とタイトルにあるように10歳の子供でもわかるような構成になっていると思われる。
こういうのも以前だったら「大人なのにこんなものを改めて聞くのは恥ずかしい」などと考えていたかもしれないが、今は素直に自分のできないことを認め、新しく学んでいこう、という気持ちになっている。
とにかく同じジャンルの本をたくさん聞いて、自分の身体に問題解決のスキルや思考などを身に着けていきたいと思い聴いてみた。
【読んだ後】
コンサルタントは入社して数年で思考のフレームワークをたくさん学ぶという。
フレームワークは膨大な過去の事例(具体)から本質を抜き出してどのケースでも当てはまるように抽出(抽象)されたものなんだな、ということを知ることができた。
ビジネスというのはそもそも問題解決を提供するものであり、問題解決に必要なのは『論理的に考え、仮説を立て、実行し、その結果を検証、修正して答えを出していくものだ』ということだと思う。
もっとコンサルタントの思考や技術を本から学べないかと考え、今後もこのジャンルの本を固めて聞いてみようと思う。
心に響いたポイント
100%の正解がない社会人の世界で、役に立つのは「精度の高い、現実的な解決策」と本書にある。
確かに社会人になるまでは問題があたえられ、それを答えればよかった。
間違えていたら、正解を教えてもらえた。
ビジネスの現場では決してそんなことはない。
問題はどこにあるのか、どうすれば解決できるのか、その思考のプロセスを早めに知っていれば、社会人になってあんなに苦労することもなかっただろう、と思った。
これまでこういったことを学んでこなかったのがすごく恥ずかしいが、知っていなかったことを素直に受け止め、学び、これからに活かしていく。
最後に
これまで何にも考えずに仕事してきたなと恥ずかしくなることばかりです。
ただ、この問題解決の思考を身につけることによって人生も豊かになる、と著者の言っていることを信じ、継続して学んでいきたいと思います。
以前に紹介した「レバレッジ・リーディング」の中にGMOインターネットの熊谷社長の話がでており、これは熊谷社長の父が幼少期の熊谷社長に伝えた言葉なのですが、
「動物と人間の違いが判るか?人間は書物を通じて人の一生を数時間で疑似体験できる。だから本を読め、生涯勉強し続けなさい」
それから熊谷社長は本をたくさん読み、その後の成功につながっていった、とありました。
私もこれまで間違いだらけの人生でした。
この言葉を信じてこれからたくさんの本に触れていきたいと思います。
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