【再生日記】1. 逮捕当日の朝

渋谷16番の再生日記

数年前ー

数年前の熱い夏の日。

独立後数年でそれなりに順調に業績も向上して複数事業を展開し、
従業員も少しずつ増え、それなりに会社らしくなりつつあった。

ただ、なかなか性格的に従業員に仕事を任せることができず自分が仕事を抱え込んでしまい、
かなり忙しい毎日を送っていた。

ちょうどそのころ、会社の身の丈にあってない大きな仕事が始まったばかりであった。
始める前から不安はあったが、私には急いで売上を上げる必要があった。
そのため無理して営業をかけ、受注が決まって仕事が始まった。

既に大きな借金を抱えていた私は毎月資金繰りに苦しんでいた。
周りには虚勢を張っていたので、まさか私が借金で首が回らない状態だと気付いていた人は皆無だろう。

会社の足元も固まっていない状態であったにも関わらず、
売上を上げたい一心で仕事を増やし続けていた。
この頃は仕事の質もよくなかっただろう。

お客様のことを考えて、と口では言ってはいたものの、頭の中は売上をあげることしかなかった。

そんな時、その新しく始まった仕事でトラブルが起き、自分が全面にでていく必要が生じてしまった。

そんな時間はどこにもなかった。

だが、この仕事を落とすわけにはいかないと考え、
夜中まで仕事をしてその他の仕事を片付け、翌日のトラブル対応に備えていた。

この時点ですでにかなり疲労困憊であった。

家に帰るのもつらかったので職場の近くのホテルに泊まった。

翌朝、目の前に警察がー

翌朝、4時頃起床し、4時半にホテルを出た。

ホテルから職場は歩いて5分もなかった。

コンビニで朝食のおにぎりと味噌汁を購入し、
さぁ今日のトラブル処理をなんとかしよう、と思ってコンビニを出た。

そこでいきなり複数の人が目の前に現れた。
近づいてくる表情は険しいもので、ただ事ではない、ということは一瞬でわかった。

突然警察手帳を出された。

「警察です。渋谷16番さんですね、なんで来たかわかますか?」

思い当たる節はもちろんある。
だが、まさか。

答えることができなかった。

「車に乗っていただけますか?」
当然断れるわけもない。

車の後部座席に押し込まれ、両脇には体格の良い私服警官に固められている。
目の前に逮捕状が出された。

「○○さんから被害届が出ています。○○さん、わかりますね?これは逮捕状です。
○〇の容疑であなたを逮捕します


両手に手錠をかけられた。

その瞬間、すべてが終わった。

こうなることは頭のどこかでいつも頭にあった。
私には返さなければいけない借金があった。

こうなる前に、その状況を打開すべく自身で会社を作り、事業を拡大して、
その利益でお金は返せば捕まることはない。
それまではなんとかごまかそう。そう考えていた。

甘かった。

最初から全てが間違っていた。

だが弁護士の知り合いは幸い何人かいる。
誰に頼もうか、すぐにきっと出してもらえるだろう、そう考えていた。


しかし、結局そこから3回の再逮捕があり、
保釈されるまで80日近い日を留置所で過ごすことになる。

プロフィール
渋谷16番

過去の事件により逮捕され、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を受ける。
会社倒産、借金2億、離婚、自宅売却、自殺未遂。

そんな時にオーディブルと出会い、たくさんの本に触れた。
本から多くの気づきを得て、生きながら罪をつぐなっていくこと、そして自分の可能性を信じ、再起を図ることを決意。

社会に貢献できる人間になるため、僕は人生をあきらめない。

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