『拝啓人事部長殿』を聴いてみた
要約・感想
こんな人におすすめ!
- 現在人事の仕事に従事している方、これから人事の仕事に従事しようとされている方
- 会社に閉塞感を感じる方
- 人事制度を構築し、企業文化を醸成したいと考えている方
作品情報
- タイトル:拝啓人事部長殿
- 著者:高木一史
- ジャンル:ビジネス・マネジメント・人事評価
著者紹介:高木一史
東京大学教育学部卒業後、2016年トヨタ自動車株式会社に新卒入社。
人事部にて労務(国内給与)、全社コミュニケーション促進施策の企画・運用を経験後、2019年サイボウズ株式会社に入社。
主に人事制度、研修の企画・運用を担当し、そこで得た知見をチームワーク総研で発信している。
オーディブル情報
- ナレーター:野村 達也
- 通常再生時間:11時間15分
- 実際に聴いた再生時間:3時間13分(3.5倍速)
この記事では、私が上記の再生時間で聞き、理解した内容について感想を交えて綴っていきます。
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本を読むにあたって:動機、何を学びたいか
ここ最近は心理的安全性の高い組織を構築するために必要なスキルである、「対話」「リフレクション」について学んだ。
心理的安全性の高い組織を構築するうえでは、やはり人事制度についても考える必要があると考えた。
この本の目次を読んだところ、
「なぜ日本は終身雇用、年功序列が重視されてきて、現在それが通用しなくなっているのか」
といった過去の日本の人事制度にも触れられているようであった。
そのため、日本の人事制度の変遷も学びつつ、いまどういう人事制度が世の中に求められているのか、また実際にどのような人事制度が世の中で出来上がっているのか知りたいと考え、本書を聞くことにした。
「心理的安全性」の作品についてはこちらをご覧ください。
あらすじ・目次
オーディブルでのあらすじにはこのように記載されている。
オーディブルでのあらすじ
トヨタを3年で辞めた若手人事が、「どうすれば日本の大企業の閉塞感をなくせるのか?」という問いを掲げ、その回答を手紙形式でまとめた全524Pに及ぶ力作。
著者は、サイボウズ人事労務部所属。
noteに投稿した「僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」が400000PVを獲得するなど話題となり、日経COMECOキーオピニオンリーダーに就任するなど、いま注目の若手人事。
こちらから詳しく見れます↓
各章の構成・目次
- 【序章】ぼくはなぜ、トヨタの人事を3年で辞めたのか
- 【1章】会社を成り立たせている10のしくみ
- 「一律平等」と「多様な個性」のあいだで
- 【2章】なぜ「会社の平等」は重んじられるのか?
- 1930年代(戦前)~1950年代(戦後)「青空の見える労務管理」
- 【3章】なぜ「会社の成長」は続いたのか?
- 1960年代~1980年代(高度経済成長期)「ジャパン・アズ・ナンバーワン」
- 【4章】なぜ「会社の変革」はむずかしいのか?
- 1990年代~現在「3つの社会問題」と、日本社会の「会社依存」
- 【5章】現地現物レポート
- あたらしい競争力の獲得を目指す12企業
- 《採用》富士通
- 《契約》タニタ、ANA
- 《時間・場所》ユニリーバ・ジャパン、ヤフー、みずほ銀行
- 《配置/異動》ソニーグループ
- 《報酬/評価》 NTTデータ
- 《健康(安全配慮)》味の素
- 《コミュニケーション/風土》コンカー
- 《育成》ソフトバンク
- 《退職》良品計画
- 【6章】サイボウズ人事制度の変遷レポート
- 情報の民主化が、しくみと風土を変えていく
- 【7章】会社をインターネット的にする
- デジタルネイティブからの提案
- 【終章】ぼくはなぜ、この手紙を書いたのか?
オーディブルは項目が細かく分かれていることが多く、これに目を通すだけでも、ざっと本の内容の大筋をつかむことができる。
特にこの著書については、概要も目次もとても分かりやすく記載があり、これに目を通すだけでもとてもためになります。
要約
人事にできることは何か。
それは、会社の理想の実現と社員の幸せを両立させることである。
人事はそれを実現させるための役割の一つである。
一人一人に個性があり、人生がある。
会社の理想とその会社で働く理想、この二つと向き合って仕組みを作り、運用していくこと。それが人事である、と筆者は述べている。
【人事とは】
「会社の理想」と「その会社で働く理想」
この二つと向き合って仕組みを作り、運用していくこと
日本の人事制度を問う
元トヨタの若手人事担当者が会社に閉塞感を感じ、日本の人事の歴史と他社の人事の仕組みを勉強しながら、改めて日本の人事制度を問う内容となっている。
著者がトヨタの人事にいて感じた閉塞感は
「一人の人間として重視されているという感覚の薄さ」
「一人ではなにも変えられない、という無力感」
から起きたものだと分析している。
人事の目的は社員の理想と会社の理想を共存させる仕組みを構築することであり、他社の事例も交えながら今後の人事制度の在り方を問う内容となっている。
会社とは人を幸せにするために存在している。
この社会を豊かにし、そこで生きる人の理想を実現するために、また誰かを幸せにする価値を持続的に生み出すためには利益を生み出す必要がある。
そのためにはその会社で働く人たちが組織に貢献し続ける必要がある。
一人一人に個性があり、人生がある。
それを汲み取り、社員の幸福を実現することによって、安定して組織に利益をもたらしてくれる人材の確保が可能となる。
それを実現するために人事の仕事があるのだ。
最後に
著者はイチ会社の従業員として大手13社もの会社の人事担当者から直接ヒアリングを行い、現在の人事制度を導入する背景を調査している。
自身がトヨタで感じた閉塞感を解決するために、日本の人事の歴史を学び、一方他社ではどんな人事制度がどんな背景から進展したものなのか、などの
「日本の人事制度がどうあるべきか」
「そもそも人事の仕事とは」
ということを述べている。
本の要約にも記載したが、会社の理想の実現と社員の幸せを両立させることである。人事はそれを実現させるための役割の一つである。一人一人に個性があり、人生がある。
「会社の理想とその会社で働く理想、この二つと向き合って仕組みを作り、運用していくこと。それが人事である。」と筆者は述べているが、現在のような変化の激しい時代において、会社と社員の理想の実現のために一人一人の従業員の個性や大切にしている価値観と向き合いつつ、人事制度を構築しているんだな、というのが理解できた。
改めて、会社を永続して発展させるためには当然利益を生み出さねばらず、それには従業員の力が必要であり、従業員の力を結集してチームとして高い成果を上げつづけるためには従業員の心理的安全性が必要になり、それを生み出すための仕組みとして人事制度を考えなければいけない、ということを改めて感じることができた。
つまり…
会社を永続して発展させるには→利益が必要
利益を生むには→従業員の力が必要
従業員の力を結集させるには→従業員の心理的安全性が必要
従業員の心理的安全性を生むには→人事制度を考えなければいけない
中小企業でこの人事制度が構築され、きちんと運用されているケースは以前からとても少ないと感じていた。
人事評価制の具体的な構築方法についても勉強してみたいと思った。
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