『ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術』を聴いてみた
要約・感想
\こんな人におすすめ!/
- 関係者が増えると予定調和な結論になってしまう
- 組織を変えたいのに、過去の成功体験にしがみついてしまう
- チーム間で学習を促進させたい
- 心理的安全性の高い組織をつくりたい
- 多様な関係者とともに価値創造をしたい
- 自分の固定概念に気づき、アップデートしたい
一つでも当てはまる方は要チェックです。
作品情報
- タイトル:ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術
- 著者:熊平美香
- ジャンル:ビジネス・マネジメント・自己啓発
著者紹介:熊平美香
ハーバード大学経営大学院でMBAを取得後、金融機関金庫設備の熊平製作所・取締役経営企画室長などを務めたのち、日本マクドナルド創業者・藤田田に弟子入りし、新規事業立ち上げや人材教育の事業に携わる。
独立し、株式会社エイテッククマヒラを設立。GEの「学習する組織」のリーダー養成プログラム開発者と協働し、学習する組織論に基づくリーダーシップ、チームビルディング、組織開発を軸にコンサルティング活動を開始。
昭和女子大学ダイバーシティ推進機構キャリアカレッジでは、会員企業40社の女性活躍推進、働き方改革の支援を行う。クマヒラセキュリティ財団 代表理事、Learning for All 理事、未来教育会議代表なども務め、教育改革の促進、社会起業家の育成、教育格差是正など幅広い分野で活動。
2015年、株式会社ライフルと共働し21世紀学び研究所を設立し、企業と共にニッポンの「学ぶ力」を育てる取り組みを開始。同研究所では、経済産業省が2018年に改定した社会人基礎力の中に、リフレクションを盛り込む提案を行った。
文部科学省国立大学法人評価委員会委員、文部科学省中央教育審議会委員、内閣官房教育再生実行会議 高等教育ワーキンググループ委員、経済産業省未来の教室とEdTech研究会委員、放送大学学園評価委員会委員、青山ビジネススクール評議委員会委員、ハーバード・ビジネススクール・グローバルアドバイザリーボードメンバー等を務める。(熊平美香公式サイトより)
オーディブル情報
- ナレーター:漆間 朝子
- 通常再生時間:5時間29分
- 倍速での再生時間:1時間34分(3.5倍速)
この記事では、私が上記の再生時間で聞き、理解した内容について感想を交えて綴っていきます。
オーディブルを無料で体験してみるにはこちら!オーディオブックアプリ(オーディブル)についてはこちらもご参考ください。
本を読むにあたって:動機、何を学びたいか
前回紹介した「リフレクション」と同じ著者である熊平美香さんの著書。これまでの経験から学び、未来に活かすためにリフレクションが重要であることを学んだ。
このリフレクションはチームの心理的安全性を高めるうえでも有効な手段となるのだが、チームの心理的安全性を高めるには対話も重要であることの記載があった。
同じ著者で対話について焦点を充てたのが本書であったため、本書を聞くことにした。
心理的安全性についての関連著書を聞きあさることによって、チームの心理的安全性を高め、チームが生み出す成果を最大化させることを学びたいと思っている。
あらすじと目次
オーディブルでのあらすじ
オーディブルでのあらすじにはこのように記載されている。
◎――Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長 伊藤羊一氏
仕事する上で、常に横に置いておきたい一冊。
1on1のときにも、アイディアを考えるときにも、問題解決をするときにも。
様々な局面で、本書に書かれている感覚がほんとうに大事。
◎――面白法人カヤック 代表取締役CEO 柳澤大輔氏
対話こそが、世界をよりよくする唯一の手段。
対話がビジネスシーンにこそ求められる理由は、ビジネスを変えてこそ世界が変わるからです。
この本は、ビジネスにおける対話の価値を、「チームワークをよくするためのもの」から「問題解決やイノベーションを起こすためのもの」へと再定義しています。
ブレイクスルーは対話から生まれる。
自分を、組織を、未来を変える。
リーダーが知っておくべき「対話」の底力。
変化が激しく問題が複雑に絡み合った現代は、一人の人間が既知の知識やものの見方を使って答えが出せるほど簡単な時代ではありません。
実際、仕事をするなかで、従来のやり方では行き詰まりを感じている方も少なくないでしょう。
これまでのものの見方、これまでの常識、これまでの成功体験が通用しなくなった今、かつてないほど対話の果たす役割は大きくなっています。(「はじめに」より抜粋)
本書では、チームづくりやアイディア創出、問題解決といった目的ごとにプロセスを実践するための対話の基礎力と、その実践方法を解説します。
著者はベストセラー『リフレクション』でメタ認知と振り返りの重要性を説いた熊平美香氏。
対話の5つの基礎力として、「メタ認知」「評価判断の保留」「傾聴」「学習と変容」「リアルタイム・リフレクション」を挙げ、オリジナルのフレームワークとともに実践的に紹介します。
各章の構成・目次
第1章 対話のスキル
- 対話こそが卓越した成果を生む
- 対話の特徴とは
- 驚きと違和感は新たな発見の機会
- 対話の5つの基礎力
- 一人で考えることには限界がある
- 対話の基礎力1 メタ認知
- 対話の基礎力2 評価判断の保留
- 対話の基礎力3 傾聴
- 対話の基礎力4 学習と変容
- 対話の基礎力5 リアルタイム・リフレクション
- 対話の破壊者にならないために
- 評価判断の保留が、創造的な結論につながる
- 過去の成功体験を手放そう
第2章 共創するチームの対話
- 対話によってチームで学び、価値を生み出す
- チーム一丸となるための対話
- 内発的動機「クリエイティブ・テンション」を見つける
- 一つの目標に向かう
- チーム学習のための対話
- 経験から学ぶリフレクション
- 経験から学ぶためのチェックリスト
- 結果や行動だけを振り返らない
- アンラーンに対話を活かす
- 心理的安全性と信頼関係のための対話
- 対話が作り出す心理的安全性
- 心理的安全性はみんなでつくる
- 信頼感家を築くための対話
- 信頼のトライアングル
- 「関係の質」の高さが、「結果の質」を支える
第3章 多様性を価値に変える対話
- 多様性の価値
- 対話が不足すると、多様性の価値は得られない
- 多様性の壁を乗り越える対話
- 言葉の壁:言葉の解釈をすり合わせる
- 行動様式の壁:行動の背景を理解する
- 評価基準の壁:判断のズレをなくす
- カルチャーの壁:一緒に実現したいカルチャーを明らかにする
- 多様な判断軸を融合する対話
- 多様な判断軸を融合する合意形成のステップ
- 具体と抽象を往来する対話
- 多様なレンズで問題を捉える対話
- 集合知を生成する対話のファシリテーション
- 「拡散」と「収束」のプロセス
第4章 創造性を高める対話
- 対話の力で新しいものを生み出す:デザイン思考
- デザイン思考の5つのプロセス
- デザイン思考の3つの特徴
- 顧客=真のエキスパートに学ぶ
- インサイトを見つける
- 「聴いているつもり」のインタビュー
- インサイトを聞き取るインタビュー
- 観察して得た情報をチームで共有する
- 学習と変容に向かう聴き方
- アイディアを創出する
- ブレインストーミングの3つの約束
- 新しいアイディアと認知の4点セット
第5章 厄介な問題解決のための対話
- 厄介な問題解決のための対話力
- 厄介な問題解決の3つの特徴
- 厄介な問題解決力に対話を活かす
- 厄介な問題解決とシステム思考
- 問題の全容を捉えるための対話──氷山モデル
- ステップ1 目に見えるものを明らかにする
- ステップ2 事実の背景にある原因を探る
- 問題の全容を捉えるための対話の目的
- システムに働きかける
- セオリー・オブ・チェンジを活用する問題解決
- 他者を巻き込み変化を起こす
- 変容のスキルを磨く
- ブレイクスルーは対話から生まれる
オーディブルは項目が細かく分かれていることが多く、これに目を通すだけでもざっと本の内容の大筋をつかむことができる。
特にこの著書については概要も目次もとても分かりやすく記載があり、これに目を通すだけでもとてもためになります。
要約
物事を一人で判断したり、新しいものを生み出したりするのは限界がある。
チームでの対話を通しブレイクスルーを繰り返すことによって、新しい判断ができたり、生み出すことが可能になる。
本書では、チームづくり・アイディア創出・問題解決といった目的ごとに、プロセスを実践するための対話の基礎力と、その実践方法を解説している。
「対話」の基礎力
対話の5つの基礎力である、
- メタ認知
- 評価判断の保留
- 傾聴
- 学習と変容
- リアルタイム・リフレクション
についての解説があり、そこからチーム作り、アイディア創出、問題解決といった目的ごとに実践方法を解説している。
対話を通して心理的安全性の高いチームを創出し、チームには人の数だけ多様性が存在するが、多様性を取り込み、そこから創造性が生まれ、新しいものを創出することが可能となる。
ビジネスにおける対話の価値
また問題解決にも対話は大いに効果を発揮する。
ビジネスにおける対話の価値は「チームワークをよくするためのもの」から「問題解決やイノベーションを起こすためのもの」へと再定義されており、
「ブレイクスルーは対話から生まれ、対話には自分を、組織を、未来を変えることができる力がある」としている。
チームワークをよくするためのもの
↓
問題解決やイノベーションを起こすためのもの
管理役職者やプロジェクトマネージャーなど、チームを率いて成果を上げることが求められる方には、今後知っておく重要なスキルである。
最後に
対話という単語を耳にすることはこれまでももちろんあったが、会話との違いをイマイチ理解していなかった。
メタ認知の4点セットである「意見、経験、感情、価値観」を理解したうえで傾聴し、相手を理解してコミュニケーションを行うことが心理的安全性を高めて様々な多様性が受け入れられるチームが作れることを改めて学んだ。
さらに、メタ認知する際に「評価判断の保留」が大事だと改めて感じた。
評価判断については熊平さんのHPに以下のように説明がある。
価値のある対話をするためには、自分の意見を持っていたとしても、その意見を横に置き、他者の意見に耳を傾ける、つまり評価判断を保留にする必要があります。
自分の意見に固執した状態で対話をしても、ただ忍耐力が磨かれるだけで、創造性は高まりません。評価判断を保留にしてこそ、多様な意見に学ぶことができます。
評価判断を保留にするためには、自分の内面を俯瞰し、自分と自分の考えを切り離すことが必要になるので、ここでも先ほど挙げた「メタ認知」ができていることが重要になります。
もし「そんな考えは間違っている」と決めつけながら他者の話を聴いている自分に気づいたら、すぐに「評価判断の保留」を意識し、自分を制御してください。
熊平美香 公式サイト
「対話を行う」ということは相手の意見、経験、感情、価値観を理解したうえで臨むものだと思うが、この評価判断の保留をしっかりコントロールできないと「傾聴することにならない」と理解することができた。
評価判断の保留を理解せずに、自分の意見に固執した状態しか作り出せないようであれば、心理的安全性の高いチーム組成はできないだろうと思う。
会話をするなかで、「そんな考えは間違っている」と思って人の話を聞いてしまうことはこれまでもよくあったが、ここでまずは評価判断の保留が必要だ、ということをこれからは意識していきたいと思う。
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