『心理的安全性 最強の教科書 チームが最高の成果を生む61の鉄則』
要約・感想
作品情報
- タイトル:心理的安全性 最強の教科書 チームが最高の成果を生む61の鉄則
- 著者:ピョートル・フェリクス・グジバチ
- ジャンル:ビジネス・マネジメント
著者紹介:ピョートル・フェリクス・グジバチ
ロノイア・グループ株式会社 代表取締役、株式会社TimeLeap 取締役。
連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。モルガン・スタンレーを経て、Google Japanで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事。
2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。
ベストセラー『NEW ELITE』他、『0秒リーダーシップ』『PLAY WORK』など著書多数。
ポーランド出身。
オーディブル情報
- ナレーター:風間 勇刀
- 再生時間:6時間38分
- 実際に聴いた再生時間:1時間54分(3.5倍速)
この記事では、私が上記の再生時間で聞き、理解した内容について感想を交えて綴っていきます。
オーディブルで「心理的安全性 最強の教科書」を無料で聴いてみる>>本を読むにあたって:動機、何を学びたいか
プロジェクト・マネジメントに関する本を聞いているうちに、組織が効果的に成果を上げるために必要なことを学びたい、と考えるようになった。
その中で「心理的安全性」という単語を耳にするようになったので興味を持ち聞くことにした。
現在仕事でお客様から新規事業立上のマネジメントの仕事の依頼をいただくようになったこともあり
「心理的安全性とは何か」
「どのようにメンバーと接すれば効果的に成果を上げられるようになるのか」
それを勉強するために心理的安全性について学ぶことにした。
あらすじと目次:「心理的安全性 最強の教科書」
オーディブルでのあらすじ
職場のストレスがなくなる!
意見やアイデアが飛び交う!
生産性&成果がアップする!!
注目のマネジメントキーワード「心理的安全性」を高めるための「考え方」と「行動」がこれ1冊でわかる決定版!
Google元アジア・パシフィック人財・組織開発責任者が日本のビジネスパーソンのために書き下ろした「チームが最高の成果を生む61の鉄則」
「心理的安全性」について「注目のマネジメントキーワード」と記載してある。マネジメントを学ぶ上でこの心理的安全性というのは大切なんだろう。
各章の構成
目次の詳細についても記載する。大事そうだなと思うもののいくつかをピックアップする。
第1部 理解編
- 第1章 心理的安全性とは何か
- 心理的安全性のあるチームはNiceではなくKind
- なぜ、組織や企業にミッションやパーパスが必要なのか
- 信頼のベースとなる「対話」は心理的安全性の必要条件
- 第2章 心理的安全性を高める「考え方」の基本
- 人にやさしく、結果に厳しく
- メンバーは「管理」しないで「支援」する
- マネージャー自身も心理的安全性を確保する
- メンバー一人一人当事者意識を持たせる
第2部 マインドセット編
- 第3章 心理的安全性を高めるマネージャーの「自己認識」
- 自分の価値観、信念、期待感を言語化する
- 組織のトップこそ、ブレない軸を持つ
- 価値観にとらわれすぎず、状況に応じて行動を選ぶ
- 第4章 心理的安全性を高めるマネージャーの「自己開示」
- 職場ではマネージャーが率先して自己開示する
- 自分の取扱説明書をメンバーに渡す
- 意思決定や問題解決の場面にこそ自己開示のチャンス
- 第5章 「相手を知る」「理解する」マネージャーの心構え
- メンバーの取扱説明書を手に入れる
- 自分起点ではなく、メンバー起点で話を聞く
- 会社の外に連れ出すと会議室では聞けない話が聞ける
- 「クライアント」のつもりでメンバーに接してみよう
第3部 実践編
- 第6章 職場におけるメンバーとの「接し方」のヒント
- 「雑談」はメンバーのことを知る「診察」
- 反対意見を伝えるときもまず相手の発言を受け止める
- 第7章 メンバーの「問題を解決する」「成長を促す」マネージャーの心得
- 悪い報告を受けたら「罰」より「対話」を
- 悩みや困りごとを相談されてもすぐ解決方法を伝えようとしない
- どんな失敗なら大歓迎なのか、前もって明らかにしておく
- 少し難易度の高い仕事を与えて能力を引き出す
- メンバーの「やりたい」を「やるか/やらないか」に変換する
- アンダーパフォーマーには、配置転換も建設的な選択肢
- 第8章 心理的安全性を高める「目標設定・管理・評価」
- 心理的暗先生を保つ目標設定にはOKRがおすすめ
- トップダウンの目標設定は意義を感じらえるよう工夫する
- 進捗管理のための「指標」と「機会」を整備しておく
- 早めのフィードバックで軌道修正を図る
- フィードフォワードで事前にアドバイスする
オーディブルは項目が細かく分かれていることが多く、これに目を通すだけでも、ざっと本の内容の大筋をつかむことができる。
オーディブルで「心理的安全性 最強の教科書」を無料で聴いてみる>>要約
「心理的安全性」とは何か
心理的安全性=楽しく、優しい職場、ではない。
“対人関係においてリスクのある行動をとってもこのチームなら馬鹿にされたり、罰せられたりしたいと信じられる状態“
“メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに、自分らしくいられる状態“
“お互いに高めあえる関係をもって建設的な意見の対立が奨励されること”を意味する。
ここでいうネガティブなプレッシャーとは、不当な目標を与えられたり、理不尽な評価をされたりすること、人格を否定する言動などを指している。
心理的安全性=楽しく、優しい職場
心理的安全性=リスクのある行動をとっても馬鹿にされず、自分らしくいられて建設的な意見の対立が奨励されること
相手を理解するには、まず自分の”取扱説明書”を渡すこと
心理的安全性は組織の成果を上げる手段であって、目的ではない。マネージャーの成果はゴールを出すこと。
この本は心理的安全性を理解し、それを高め、活用する方法を具体的に解説し、組織の成果を効率的に上げられるようにする方法を解説している。
本書の流れとしては、
- 心理的安全性とは何かについての説明
- 心理的安全性の高め方についての解説
- 心理的安全性を高めるマネージャーの自己認識、自己開示の重要性についての解説(相手と信頼関係を結ぶためにはまず自己開示が必要であることから)
- 具体的なメンバーとの接し方、「問題を解決する」「成長を促す」ためのマネージャーの心得、心理的安全性を高めるための「目標設定・管理・評価」についての解説
となっている。
本の構成からもわかるが、まずは心理的安全性を高めるために、マネージャーのマインドセットが重要であることを伝えている。
相手を理解するために相手が自己開示してくれることが必要であるが、その前にマネージャー自身が自己認識をしっかり行い、自己開示を行う。
自分の取扱説明書を渡したうえで、相手の取扱説明書を得られるようにすることが重要だと述べている。
メンバーの取扱説明書を得るために重要なのは、自分起点ではなく、メンバー起点で話を聞くこと。
「あなたのことを見ていますよ」という態度を示すことが重要です
多様な意見の対立や衝突から成果は生まれる。
心理的安全性は”リスクのある行動”をとっても馬鹿にされたり、罰せられたりしないと信じあえる状態のこととあった。
この”リスクある行動”というのがチーム内の意見の衝突である。
チーム内の議論に異論を唱えることができるか。批判を恐れずに自分の言いたいことを言えるか。
意見の対立が奨励されない職場では正しい議論が行われない。お互いが意見をぶつけ合い、それを乗り越えた時に創造的なアイディアが生まれ、成果が生まれる。
「会話」と「対話」の違い
心理的安全性を高めるためにチームメンバーとのコミュニケーションが重要であると述べているが、「会話」と「対話」を分けてその上で「対話の重要性」について述べている。
会話と対話は違う。
意見の対立が建設的になるには、対立しても人間関係が壊れない信頼がベースになければならない。
「ここで反対意見を述べても私たちの人間関係は揺るがない」と思えるから自分のいいたいことを言えるのであって、もし意見の対立があった場合に人間関係が壊れるというリスクを感じるなら、対立を恐れて何もいえなくなってしまう。
お互いの信頼関係を構築するのに必要なものは「対話」
対話=ダイアローグは、お互いの理解を深めあうことで成果を生み出していく創造的な会話のことを指す。
会話:日常的に行われる、互いに話を交わすことそのもの
対話:互いの理解を深め合うための創造的な会話のこと
対立があって人間関係が壊れてしまうのは、相手のことを知らないから。相手のことをよく理解していれば多少の意見の対立があっても人間関係は崩れない。
対話を通してポジティブな意図を共有できる。
対話を続けていけば価値観ベースで共感できる。
意見の対立はいけないことではない。
意見の奥にあるその人の価値観や哲学を理解できていれば、お互いを尊重しつつ、意見を述べ合うことができる。
たとえ表明する意見が違っていたとしても、その奥にある誠実な哲学や意図を対話を通して伝えあうことができれば、お互いの理解が進み、信頼して、尊敬したうえで自分の意見を述べ合うことができる。
メンバー内で目指す方向や目標を共有できていれば、意見が対立しても、チームの心理的安全性が崩れることはない。
この対話の上に心理的安全性が成り立ち、多様な意見をストレートに出し合うことで建設的な議論がなされ、新しいアイディアが生み出されていく。
最後に
これまで会社勤めをして、心理的安全性が高い職場ってなかったなぁと改めて思った。あまり仕事が楽しいと思ったこともなかったし、自分の話を聞いてもらえている、という感覚もなかった。
半年ごとの成果で数字で評価されて、定性的な評価はかなり評価者の主観が入ったものとしか思えないときもあった。
今思うと仕事のモチベーションをどうやって自分は維持していたんだろうと考えるが、モチベーションどうこうではなく、とにかく目の前の与えられた仕事をするしかなかった、という感じであった。
「意見の対立が奨励されない職場では正しい議論は行われない。お互いが意見をぶつけ合い、それを乗り越えた時に創造的なアイディアが生まれ、成果が生まれる」と本中にあるが、その通りだと思う。
チームのメンバーが同じ方向を向き、信頼関係があって、自分の意見を正しく表明することができる。
当たり前のような話だが、日本では、この“自分の意見が正しく言えないことをその人の性格だと結論付けること”がとても多いと思う。
それはその人の個人の性格によるものではなく、あくまで組織として「心理的安全性をもった組織作りができていない」ということなんだと改めて気づかされた。
今後チーム作りを行う際にはこの”心理的安全性が高い”ということを意識した組織作りを行っていきたいが、そのためには自己認識をしっかり行い、自分の取扱説明書をいつでも相手に渡せるようにしたいと思った。
また、心理的安全性を高めるためのコミュニケーションのスキルについてもいくつか本を聞いて勉強したいと思った。
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