【再生日記】4.検察庁での1日

渋谷16番の再生日記

護送車で地検へ

2日目は東京地検(東京地方検察庁)に連れて行かれた。

留置所を出て地検に連れて行かれることを護送というらしい。

同じ留置所から4人が護送車で地検に向かった。

留置所を出る時は手錠をかけられ、その手錠にロープが通され、腰縄で4人繋がれる。
そして前後のロープを留置官が持ち、連れていかれる。

地検に行くまでに5つくらいの近くの警察署に行くと、同じように数名ずつ入ってくる。
全員で20名くらいがきっちり腰縄で繋がっている。

朝の8時頃に護送車に乗り、検察庁に着いたのは10時少し前くらい。

何ヶ所か警察署を回るのでとても時間がかかる。

手錠でずっと繋がれてるし、

車は狭いし、

外も少ししか見えない。

この時間はとても辛かった。

地検に到着するも…

地検は異様な雰囲気だった。

キョロキョロ周りを見渡すとめちゃめちゃ怒鳴られる。

この後何度か検察庁にくることになるのだが、一度女性のご一行とすれ違うことがあった。

建物の中ですれ違ったのだが、その時は一度歩くのをやめて横を向き、壁に手をついて、

「絶対に見るなよ」

と指示された。

地検の地下に大勢の留置人が連れていかれる。

はじめに見た時は圧倒された。

20部屋くらいあり、おそらく10人ずつ部屋に入っているので200人くらいいることになる。

部屋は立派な鉄格子の部屋であり、狭い部屋に並んで座る。

この中に手錠をしたまま、いつ自分の番号を呼ばれるかもわからず、ただ黙って座り続ける。
そして木のベンチのような椅子に座るのだが、その椅子がめちゃめちゃ固い。

検察庁に行く時は10時から17時くらいまでいる。

検察官からの取り調べを除いても、5〜6時間はこの狭い部屋にいなければならない

当然できることは何もない。

この劣悪な状況にいると、あぁ自分は犯罪者なんだな、と実感がわく。

地獄の待ち時間は続く…

同じ部屋の人たち同士での会話は禁止されている。

ただ、大体ちょっと話をする人がいる。

そうすると、

「会話をするな!!」

という怒号が鳴り響く。

中には暴れる人もいる。

そうなると、たった一人を取り押さえるために、4.5人の警察官が取り囲み押さえつける。

ものすごい光景だった。

この人たちと自分は同じなのか、と思うと辛くてならなかった。

部屋ではとにかく座っていることしかできない。

辛くて辛くてたまらなかった。

12時から昼食の時間になる。この時の昼食はパンだった。

手錠をつけたまま食べる。

初めての時はこの状態で一体どうやって食べるんだよ、と思ったが、みんな上手に食べていた。

参考にしながら自分も食べる。

何回か検察庁に行くうちに、自分も手錠をしながら、

上手にパンの袋をあけ、ジャムを塗り、器に入れられたお茶も上手く飲めるようになった。

なかなか呼ばれない。

呼ばれたのは14時くらいだった。

部屋から出て広い地検の中を歩いて検察官の待つところへ。

取り調べ自体は10分ぐらいで終わった。
大したことは聞かれなかった。

そしてまた部屋に戻る。

とにかくこの時間が辛くて辛くて仕方なかった

やることがないからとにかく色々考えてしまう。

会社はどうなるのか

家族はどうなるのか

そもそも自分は生きていけるのか

この時は恥ずかしい話だが、被害者のことより自分のことばかり考えてしまっていたように思う。

まだ現実を理解していないところがあった。

とにかく外の情報が何も入ってこないのが不安で不安で仕方ない。

これまでは一日中、スマホのLINEやらなんやらのメッセージが鳴り止まなかった。

だからこそ一切触れなくなると、とたんに不安で仕方なかった。

弁護士から外の様子を聞かされる

17時ごろにやっと検察庁を出た。

護送車に乗せられてまたいくつかの警察署をまわり、自分たちの留置所に戻っていく。

自分が留置所に戻ったのは19時ごろだった。

明日は裁判所にいくらしい。

流れがイマイチよく分からないのでそれがさらに不安になる。

弁護士が私が帰ってくるまで待ってくれていた。
外の話を聞かされる。

全国ネットのニュースで流れたことを知る。

自分の周りは”大パニックに陥っている“とのこと。

話を聞いてとても不安になるが、自分ではどうしようもない。

なるようにしかならないのだが、その時はまだすぐに出られるだろうと思っていたので、

「自分が外に出れさえすればリカバリーできる」と思っていた。

しかし結局は約80日間外に出ることができず、どんどん会社や人間関係が壊れていくのを聞かされるだけとなるのだ。

目の前に大切なものや人がいるのが見えている状態で、誰かに壊されていく。

でも助けたい、守りたいと思っても絶対に手は届かない。

目の前にあるのに絶対届かない。

このあとどんどん精神的に追い込まれていくことになる。

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