オーディブルで聴く『マーケターのように生きろ「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』
要約・感想・書評
こんな人におすすめ!
- マーケティングの基本的な考え方を身に着けたい方
- 自分の使命なんてよくわからない、挫折してそれを見失ってしまった方
- 人から求められる人間になりたい、と考えている方
作品情報
- タイトル:マーケターのように生きろ「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動
- 著者:井上大輔
- ジャンル:ビジネス・マーケティング
著者紹介:
ソフトバンク株式会社のメディア統括部長。
以前はニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディジャパンなどでマネージャーを務め、ヤフー株式会社MS統括本部マーケティング本部長を経て現職。著書に『デジタルマーケティングの実務ガイド』『たとえる力で人生は変わる』など。
要約
「マーケターのように生きる」の出発点はあくまで「自分」ではなく「相手」である。
マーケターのような生き方は強烈なカリスマでない人が「際立った個になる方法の一つ」である。
と冒頭で述べている。
発想を「自分から」ではなく、「相手から」スタートする。
人の期待に応える生き方を追求することで、人に求められる人間になれる。
それが「マーケターのように生きる」ということである。
相手の期待に応えることを追求すること、すなわち自分を表現しないからこそ輝ける生き方であるというのが著者の主張である。
マーケティングの定義
「顧客、パートナー、会社全体にとって価値のある提供物を、創造し、伝達し、運搬し、交換する、活動一連の組織・プロセスである。マーケティングの本質は価値を作って伝えて届けて交換することまでの一連のプロセスのこと」
相手が何に困っているのか、何を欲しているのか、それを自分がどのような形で解決したり、提供できたりするのか。
マーケティングと聞くと広告や販売活動の仕事だと思われがちだが、「顧客、パートナー、会社全体にとって」という、自分に関わる全てにとって価値のあるものを提供すること、その一連のプロセスだと言っている。
そのため、「相手が何に困っていて、何を求めているのかということを突き詰めて考え提供していく」ということがマーケティングということになる。
マーケティング=広告・販売活動
マーケティング=相手が何に困っていて何を求めているのかを考え、提供すること
この考え方を生き方に反映させることによって、いつでも、どこにいても相手に求めらえる人間になれる。
それが「マーケターのように生きる」という生き方であり、それを実行することによって、その生き方は「何者でもない自分」が最強の武器になる生き方だ、というのが著者の主張になっている。
各章の構成
- PART1:人の役に立ち、自らの価値を高める「マーケターのように生きる」という思想
- CHAPTER1:マーケティングとは「思想」である
- CHAPTER2:マーケティングとは「人類の英知」である
- PART2:仕事もキャリアも人生も好転する「マーケターのような行き方」4STEP
- STEP1:市場を定義する
→相手を決めること。市場の規模と自らの能力のバランス調整が重要。 - STEP2:価値を定義する
→「相手の求めること」を確定させること。相手が何に困っていて、何に悩んでいるのか、これらを正確にとらえていく必要がある。 - STEP3:価値を作り出す
→誰にどのように貢献するか、自分の所有している限られた選択肢の中で決めなければならない。どのような要素があり、どのような価値に結び付けることができるかを理解することで選択肢を増加させることができ、マーケターとしての能力を向上させることができる。 - STEP4:価値を伝える
→相手に価値を伝えなければ、せっかくの価値も何の意味もない。あなたが必要だといわれるためには、あなたの価値を伝えること。すなわち自分をアピールする必要がある。
- STEP1:市場を定義する
- 終わりに:あらためて「マーケターのように生きる」すすめ
感想
【読む前】
留置所での読書経験から、これまで全く本を読んでこなかった自分が本にたくさん触れることで何かキッカケを見つけることができるかもしれないと考えるようになり、その後オーディブルに出会い狂ったように本を聞き始めた。
そこで「問題解決」の考え方に触れ、論理的な思考法などのジャンルの本を聞きあさった。
その中でマーケティングについて触れている本もたくさんあり、そもそもマーケティングってなんだっけ?と考え、いろいろ探していたうちに出会った一冊。
マーケティングの基本的な考え方だけでなく、その考え方を「生き方」に反映させることによって、「人から求められる人間になれる」とあったため興味を持った。
今後周囲から腫物のように扱われるであろう自分が、それでも人から求められる人間になるにはどうしたらいいか、何かヒントが得られれば、と考え聞くことにした。
【読んだ後】
そもそもマーケティングの意味を全く理解していなかった。
ただの広告宣伝のことだと思っていた。
これは「思想」というか、ものの考え方の基本だと認識した。
発想を自分から、ではなく相手から考えること。
「相手の立場に立ってものを考える」などとはよく言ったものだが、相手の立場に立ってものを考え、それを形にして、提供して、問題を解決するのがマーケティングであることを知った。
自己啓発のジャンルの本をたくさん聞くと「利他の精神」について触れている本がたくさんあるのだが、マーケティングにも利他の精神が根本に必要になるのだな、と違う本のジャンルでも何かつながる感覚を持った。
「これから俺は一体どうやって生きていけばいいんだろうか」といろいろ考えていたが、
もっとシンプルに「他人が困っていることを、自分だったらどう解決できるか」を考えればいいのか。
何か頭の悪い安易な答えの出し方のような気もしたが、難しく考えずにまずはそれだけ考えて生きていこうと、自分にとってはとても前向きになれた一冊であった。
最後に
留置所にいる際に「外に出ても仕事なんかできるのだろうか」「こんな自分を誰が受け入れるのだろうか」「そもそも生きている価値はあるのだろうか」などとずっと考えており、自分はいったい何をこれからすればいいのか全く答えが出せなかった。
外に出てからもそれはしばらく変わらなかったのだが、この本を聞いて
「自分が何ができるのか」を出発点として考えるのではなく、「相手が何に困っていて、何を求めているのか」に対し、「それを自分ならどう解決できるのか、何を提供できるのか」を考えていけば、そこに何かしら価値があるものを作れるかもしれない、とボヤっと考えられた。
これからのヒントになるかもしれないな、というキッカケを与えてくれたのがこの本であった。
保釈されて外に出てきたあとは、自分が思っていた以上に人が離れていっていたが、残ってくれた人たちもいた。
まずはその人たちの「何か」役に立つことを考えるようにした。
それが少しずつ仕事が増えていくキッカケになったように思う。
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