『アナロジー思考「構造」と「関係性」を見抜く』
要約・感想・書評
こんな人にオススメ!
- 幅広い層のビジネスパーソン
- アナロジー思考を使って新しいアイデアを生み出したい、と考える方
作品情報
- タイトル:アナロジー思考「構造」と「関係性」を見抜く
- 著者:細谷功
- ジャンル:ビジネス・問題解決
- ナレーター:あんべあつし
著者紹介:細谷功
ビジネスコンサルタント。神奈川県鎌倉市出身。東京大学工学部卒。
東芝にて約8年間原子力技術者を経験した後、アーンスト・アンド・ヤング、キャップジェミニ・アーンスト・アンド・ヤング、キャップジェミニ、ザカティーコンサルティングに所属。
現在、株式会社クニエ(前身はアーンスト・アンド・ヤング)の業務に従事。
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要約
新しい発想はどこから生まれるのか。
新しいアイデアも他にすでにあるアイデアの組み合わせであることが多い。
新しいアイデアは「借りてきて組み合わせる」ことで生まれる。
どうやって既存のアイデアを借りてくるのか。
そのときに必要になる思考法がアナロジー思考である、と筆者はいう。
本書ではアナロジー思考を使いこなすことで、
・未知の物事にも新しい発想で対応したり
・自分の理解を深めたり
・他人に分かりやすく伝えることができる
ことを説明している。
また、異なる領域での問題解決やアイデア発想に有効な手法であるアナロジー思考をビジネスにおいても活用することも可能であることを説いている。
各章の構成
- 第一章:アナロジーとは何か、なぜ重要なのか
- アナロジー思考とは日本語で「類推」のことで、二つの世界の比例関係を利用した思考法のこと
- アナロジーには自分の理解、他人への説明、新しい発想という3つの目的がある
- アナロジーとは全く関係ない世界から「借りてくる」発想
全く異なる世界からのアイデアの貸し借りが可能
- 第二章:アナロジーのメカニズムを解明する
- アナロジーは演繹的推論、帰納的推論とは異なる「アブダクション」なる仮説的推論の一つ
- アナロジーとはアイデアを異なる世界から借りてくるための手法
借り先の世界としては様々な世界が考えられる - 借りる先の世界、ベース領域は借りてくる世界
ターゲット領域から離れれば離れるほど斬新な発想が得られる - アナロジーは穴埋め問題のようなもの
既知のことを利用して、他の世界での未知の領域のものに対応して知見を得ることができる
- 第三章:アナロジーの基本は「構造的類似点」を探すこと
- 類似には表面的類似と構造的類似があり、アナロジーに重要なのは「構造的類似」を見つけることである
- 構造的類似とは複数の事象の関係性に関する類似のこと
表面的類似より見つけるのが難しい分、その価値は大きい - 構造的類似を見抜くために、関係、構造の基本パターンを頭に入れておく必要がある
- 表面的類似と構造的類似の違いを意識することで、身の回りの様々な事象の関係性が違った形で整理できる
- 第四章:アナロジーに必要な抽象化思考
- アナロジーに必要な構造的類似を見つけるためには、抽象化思考力が必須の能力であり、一般化やモデル化によって共通点を見つけることが重要である
- 抽象化レベルが高いほど、遠くの世界からアイデアを借りてくることができる
- 抽象化思考レベルが高い人には、「図解してシンプルに考える」「極論して二項対立で考える」「話が上手い」等の思考の特徴がある
- 抽象と具象はどちらか一方だけではうまく機能せず、両方の特徴を理解しながら、抽象と具象を行ったり来たりして、思考を膨らませることが重要である
- 第五章:科学やビジネスに応用されるアナロジー
- アナロジーが歴史上もっとも活用されてきたのは化学の分野であり、様々な分野からのアイデアによってブレイクスルーがもたらされた
- ビジネスの世界でアナロジー思考を活用するためには、一見違うが実は構造的に似ている業界が必要であり、そのために必要となるのは事業特性である
- 歴史から学ぶ、というのもアナロジー思考が活かされる場面の一つ
そのために必要なことは、歴史を単なる個別事象の一つの集合としてとらえるのではなく、構造の変化をとらえることである
- 第六章:アナロジー思考力を鍛えるために
- 発想力豊かな人は単に多様な知識経験をもっているだけでなく、それらを関係する分野につなげる力を持っており、これがほかならぬアナロジー思考のことである
- アナロジー思考を存分に活用するためには、すべての事象を自らの世界と関連付けて考える姿勢が重要であり、そのためには常にアンテナを張っておく必要がある
感想
【読む前】
本書の著者である細谷さんの「具体と抽象」を聞いて、自分がいかに今まで何も考えずに生きて仕事してたな、と改めて思うキッカケとなった。
細谷さんの伝えている思考法全般について知りたいと考え、「具体と抽象」の中にも出てきていたアナロジー思考についての本書を聞くことにした。
【読んだ後】
今まで何も考えずに生きてきたので、『物事の関係性、構造を考える』ということも当然してこなかった。
第五章に『歴史を単なる個別事象の一つとしてとらえるのではなく、構造の変化をとらえることである』とあるのだが、
歴史を学び、その構造を理解し、今の自分や世界に照らし合わせて、どう生きていくか・どう活用するかを考えていくことができるようになると思う。
この本に若いときにであっていればもっと一生懸命、歴史も数学も国語も勉強したのにな、と思った。
心に響いたポイント
アナロジー思考の例として、かばんの構造から、それを会社の予算管理に活かしていく例があるが、「まったく関係ない世界の事柄の構造を抽出して、他の世界に飛ばしてアイデアを得る」というのはまさしくこういうことなのか。
とアナロジー思考の面白さが詰まっている例であった。
めちゃめちゃわかりやすい!
最後に
細谷さんの著書である「具体と抽象」を聞いて、とても面白かったのでこの「アナロジー思考」も聞いてみました。
具体と抽象は具体的にその事柄の構造や本質を理解する手段として必要なもので、
それを用いて、アナロジー思考によって新しい発想を得たり、問題解決のヒントを得たりすることができる、と理解が深まりました。
細谷さんの本はとても面白い。
たとえも非常にわかりやすい。
これから何か新しいビジネスを始めなければ、と考えている自分にとって、いつもこのようにアンテナを張っていればまたビジネスのヒントが得られるかもしれない、と前向きになれる一冊でした。
細谷さんの関連図書はまだまだたくさんあるので、他のものも聞いてみようと思います。
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